良い本を読んだ

 木曜日に借りた本をすべて読了。今回は特に印象深いものばかり。大江戸体験事情はこの間感想を書いたので割愛。

「師匠は針 弟子は糸」は古今亭志ん輔師匠のエッセイ。志ん朝師匠の思い出から、家族や噺家仲間について赤裸々に吐露したケータイ日記など、読み応え充分。女性の噺家についての否定的な表現など、幾分に気になるところはあったが、まあ、私は女性でも噺家でもないので、あえて黙殺。「二年しっかり育てて、物にならないようなら廃業を薦める」というスタンスのせいか、五人の弟子のうち四人が廃業。ケータイ日記に頻繁に出てくる折輔さんも二年で廃業している模様。怖い怖い怖い怖い。弟子の中で残っているのは、同じくケータイ日記内にちよっとだけ出てくる「和田」、こと、現古今亭始さんだけらしい。怖い怖い怖い怖い。古今亭始さんはYouTubeでも積極的に配信されていて、私もチャンネル登録している。この間は龍玉師匠が出演されていた。龍玉師匠の千両みかんは初めて拝見したが、雲助師匠の影響がそこかしこに見て取れ、実に興味深かった。

「志ん朝の高座」は、「圓生百席」の仕掛人である京須氏の複数の寄稿と、首提灯と試し酒の速記、それから落語の申し子古今亭志ん朝の高座での写真やスナップ写真をまとめた贅沢な一冊。文楽・圓生・志ん生に間に合わなかったのは年齢のせいで仕方ないが、古今亭志ん朝に関しては、もっと早く江戸落語に目覚めていれば、何かの形で間に合ったはずなので、返す返すも口惜しい。それにしても試し酒が昭和に書かれた新作落語だったとは。私はてっきり古典だとばかり。益田太郎冠者の宗論の方がよほど古いのか。

「志ん朝の風流入門」は、お好み邦楽選の台本をベースにした洒脱なエッセイ。志ん朝自身が記したわけではなく、志ん朝がラジオで読んだ台本を、志ん朝の口調を活かしてリライトする形で、小咄を混ぜながら書籍化してある。知らない言葉が目白押しで勉強になった。日本語の奥の深さよ。

「ボンちゃんは82歳、元気だよ!」は、ハンセン病回復者の石山春平さんの本。自らを語る術もなく、抑圧され、虐げられてきた戦前の患者とは違い、プロミンによる治療後社会復帰を果たし、社会の一員として、またハンセン病回復者として大きな足跡を残している著者だが、それでも数多くの差別を経験し、人としての権利を蹂躙されてきたという事実に悄然とするばかり。以前読んだ「きみ江さん」と同様、文章から伝わってくる氏の朗らかさが救い。

 図書館に返した後、感銘したり、特に気に入ったりした本は、古書や新書で購入後、データとして保存し、端末に入れていつでも持ち歩けるようにスキャンしている。今回はすべての本を購入予定。レシピや手芸本、健康本以外の本を読む歓びを、完全に取り戻せた気がする。来月6日は鹿島錦教室だが、おそらく参加できないので、7日に用事で出かけるときに、また何冊か借りてこよう。