喜劇急行列車

 昭和の人情喜劇の安心感ときたらもう。出口王仁三郎の血を引いているともっぱらの噂(嘘)の渥美清主演。佐久間良子や大原麗子、小沢昭一なども出演しているが、 私のツボは、寄席によくいる小さいおじさんこと、スリ役の先代圓歌師匠。クレジットによれば、まだ歌奴だった時代。小沢昭一に関しては、若すぎてどこに出ていたのかわからずに、検索して調べてしまった。同様に若すぎて見た目だけでは判別できなかった故先代圓歌師匠にすぐ気づけたのは、あの声の調子のおかげ。名作「中沢家の人々」そのまま。

 もう一つの個人的なツボは、渥美清が専務車掌を務める寝台列車、東京から佐世保・長崎に向かう車両の路線図の中に表示されていた「太良」という駅名。一瞬「わー」とテンションが上がったが、よく考えたらそんな駅は存在しない。太良は町名。駅名は「多良」だから。

 マドンナ役の佐久間良子と二人で散策する長崎の風景も、よくウォーキングで歩く、活水近くの坂とか、グラバー園の周辺で、見覚えがあった。ただし、撮影された当時は、古い瓦ぶきの日本建築が多かったようで、昔はこんな感じだったのかと、逆に新鮮さを覚えた。

 心臓病の子役の血色がやたらといい(しかも小走りとはいえホームを走る)のが気になったけど、他はまあ無難にまとめてあって、たまにはこういうほんわかとした話を観るのもいいかもと思わせてくれた。定期的に見直したい。

※若いころの大原麗子と、昔の新幹線を比べたら、昔の新幹線の方が可愛い気がする。もしかして撮り鉄の素質があるんだろうか。