陶芸紙の扱い方

陶芸紙の簡単な扱い方を解説します。

陶芸紙とは?

ここでは、佐世保市のおりがみ陶芸センターで開発された、おりがみ陶芸用の陶芸紙のことを指しています。特殊な比率で配合された粘土と和紙を重ね合わせ、最上部には顔料で柄が印刷してあります。詳細は企業秘密とのことですが、材料の性質から、シルクスクリーン(世代的にはプリントゴッコ)のような、孔版印刷に近い手法なのではないかと、勝手な想像をしています。柄は写真以外にもたくさんあります。サイズも複数あり、自分でカットされるのであれば、(ほぼ)A3サイズから販売されています。

濡らして折り紙などを折る要領で作品を作り、さらに乾燥後焼成することで、和紙の部分が焼けてなくなり、土の部分は焼き締められ、焼き物となります。焼いた後は、用途に応じて、ニスやレジン、食器用エポキシなどで加工したり、釉薬をかけてさらに焼成して仕上げます。通常は透明な低温釉(無鉛)を用います。

折り紙のように折るだけでなく、切る、貼る、重ねる、描くなど、さまざまな技法を用いて、工夫次第で実用品から工芸品まで、さまざまなものを作れます。詳細は陶芸センターのカタログをご覧ください。

乾燥時に注意すること

濡らせば自在に折ったり切ったり出来る陶芸紙ですが、乾燥した状態では、非常にもろいです。極度に乾燥した状態では、指でつまむようにして持つだけで、中身が割れたり崩れたりします。一番上が和紙になっていますので、中が崩れたことに気づかずにそのまま折ってしまうと、仕上がりに影響します。特に初めて触る時など、指先でつまむのではなく、パレットナイフや竹串などで軽く持ち上げ、手の平を差し込むようにして、広い面積で支えて移動してください。慣れて力加減が調整できれば、ある程度雑な扱いかたをしても大丈夫です。

制作途中で、泥漿を練る時など、粉物を扱う場合は、念のためにマスク推奨。

保管の方法

制作やカットする時には濡らしますが、再度保管の前にはきちんと乾燥させます。YO-NETの中の人は、一度濡らしてカットした紙を密閉容器に入れて持ち帰り、すっかりそのことを忘れて二週間ほど経過してから慌てて開けたら、カビだらけになってしまっていて、途方にくれたことがありました。

カビが生えた場合

陶芸紙は、ある程度の値段がしますので、カビが生えたくらいで捨ててはいけません。陶芸紙に生えるのは、毒性の低い黒カビです。もちろんきちんと管理していれば普通は生えません。もっとも、毒性が低いといっても、真菌ですので、気管支が弱い人や、喘息持ちの方は注意する必要があります。直に触る勇気がない人も、介護用のラテックスの手袋と、マスクがあれば、たいていのカビは乗り切れます。乗り切れはしますが、いささか悲しく、私もカット後の紙を放置するのは、一度で懲りました。

すべて勉強です。

制作の前に準備するもの

・水
・筆やスポンジ、ティッシュなど、陶芸紙を濡らすもの
・泥漿と、泥漿を塗るための筆
・ハサミやカッターなどの加工用の道具
・下敷き

折り方の手順

百聞は一見に如かず。Youtubeに折り鶴の制作工程がアップロードされていました。ちなみに私の場合はそもそもが雑な性格ですのでここまで丁寧なやり方はいたしません……。勢いで折って放置し、半乾きの状態で整形したりしています。

動画で使われているのと同じ柄の陶芸紙で作った鶴が、リーフレットに掲載されています。

あると便利な道具

個人的に便利だと思うのが、ロータリーカッターです。画像はオルファのサイトから。陶芸紙をカッターで切る場合、和紙を重ねてあるため、繊維のせいで切りづらく、押切りをしないといけません。直線のカットであれば、ロータリーカッターの方が無難です。細かい部分はデザインナイフで。この場合も基本は「押切り」です。曲線は一も二もなくハサミの方が切りやすいです。

その他、折り紙やペーパークラフトの本、自作の型紙など、制作予定の作品に応じて、資料などを準備しておきましょう。

泥漿と色泥漿について

泥漿は陶芸紙の粘土部分と同じ配合になっています。いわゆる「どべ」です。修正や、貼り付け、補強などに使います。色泥漿は、泥漿に顔料を配合したもので、同様に同じ色をしたカラー陶芸紙(単色)の補強や張り合わせに用いたり、絵を描くなど、その他装飾に用いたりします。ステンシルの技法で絵付けをする時にも使えます。

制作後の段取り

制作後は焼成を行いますが、通常の陶芸が、素焼きの後釉薬を施して本焼きするのに対し、おりがみ陶芸は、まずパールガラスというピンク色の姿形保持材を用いて高温(本焼きの温度)で素焼きをして、その後低温釉をかけて再度焼成して仕上げます。「暑くて無理。もう無理」という感じのぐったりした鶴を作りたいときは、保持剤を使わずそのまま焼きます。結果、心身ともにだらけきった鶴が焼けます。チャイコフスキーが喜びそうな瀕死の白鳥とかも同様の手法で焼けるかもしれません。

陶芸窯をお持ちでない方は、インストラクターや陶芸センターに焼成の依頼(作品の大きさや数により金額が違います)が可能です。パールガラスは、融点が1400度以上と高く、1250度前後を最高温度としている家庭用電気炉では、融かすことすら出来ません。ちなみにパールガラスは一度購入すれば、ずっと使えます。

和紙が剥がれてきた場合

陶芸紙に使われている和紙は、海藻から作られるフノリで粘土部分に貼り付けられています。経年劣化で和紙の部分だけ剥がれてくることがありますが、そのような場合は、フノリ、あるいは水で薄めたでんぷん糊で、表面を軽く濡らすようにして貼り付けます。どのような接着をしても、焼成過程で燃え尽きるのですけれど、作業時に湿さなければならないことを念頭に置くと、膠などの耐水性のある接着剤は用いない方が無難です。

余り紙について

制作過程で出た余り紙は、カットして貼り付け、装飾や補強として使ったり、乾燥してからビニール袋の中などでもみ、粘土の部分だけを取り出して、泥漿に混ぜたり出来ます。粘土だけで作品を作ることも可能ですが、かなりの確率でヒビが入ったり割れたりします。粘土で成型した後、細かい陶芸紙を貼り付けるという手法で制作した方が綺麗に仕上がります。

長崎県佐世保市生まれの「おりがみ陶芸」を中心に、鹿島錦など趣味のクラフトワークその他についてつらつらと綴るブログです。